LED電球でエネルギー蓄積可能な赤色残光蛍光体

 残光(蓄光)蛍光体は、安全標識や時計の文字盤 等に緑色のものが実用化されています。 しかしその性能は発展途上で、暗がりで電気スイッチ の位置を示す残光シールが翌朝まで十分な明るさで 光り続けることはありません。そして現状の残光 蛍光体は、紫外光でエネルギーを蓄積します。 現在普及がすすんでいるLED電球は紫外光成分を 含まないため、 残光の強度は小さく時間は短くなってしまいます。
 本研究は、新しい赤色の 硫化物残光蛍光体の可能性を見い出すものです。 赤色に発光するイオンとエネルギー蓄積に 寄与するイオンを選び、 ヨウ素蒸気を援用するという独自の 蛍光体作製手法により、実用化にいたっていない 赤色残光を得ることに成功しました。 微弱光を注意深く検出する実験により、 可視光によって、赤色残光をもたらすエネルギー蓄積 が生じることを明瞭に示しました。 残光の強度と時間をさらに 伸長するための研究を継続しています。 昼間の太陽光をうけて夜中じゅう翌朝まで光り続ける 残光シールが実現したとすると、 街灯のない道路のガードレールにはれば 昼間の太陽エネルギーを夜間に光として 使用できることになります。 省エネルギーおよび安全安心な社会のために おおいに資することになります。