チオシリケートを用いたシリコンフォトニクス

 現在実用化されている半導体発光材料のほとんどは化合物半導体で、 シリコン(ケイ素,Si)を用いた発光材料が求められています。そこで、 シリコン硫化物という新たな材料系に注目して研究を行っています。 反応性の高い硫化物を用いることにより、シリコン基板上に比較的低温で 成長させることが可能です。将来のシリコン集積回路上での光電子融合デバイスにも つながる期待があります。
 現在ユーロピウムチオシリケートという黄色発光する材料をシリコン基板上に 成長することに成功しています。シリコンに硫化ユーロピウム膜をつけ、 硫黄蒸気下で熱処理することにより、基板のシリコンを取り込みながら うまく成長していることがわかりました。光励起で2%の発光効率が得られています。 粒やひも状の発光物質も得られています。発光起源はプラス2価の ユーロピウムイオンです。成長条件を詳細に検討したり、大きさや価数の異なるイオンを 適度に導入するなどして、電流注入発光を得ること、発光波長を自在に制御すること、 光通信に用いる近赤外光を得ること、などをめざして研究を推進しています。