チオシリケートからの1.5マイクロメートル発光
1.5マイクロメートルという近赤外光は、光ファイバーの中を行き交っている、
光通信で実際に用いられている光です。この光を、集積回路の原料であるシリコンから
直接得ることが現在強く求められている技術の一つです。その方法のひとつとして、
エルビウムという希土類元素を用いることが提案されていますが、これまでは発光効率が
極めて低いという問題点がありました。今回、ユーロピウムチオシリケートという
新たな母体材料中にエルビウムを導入することにより、1.5マイクロメートルの発光が
得られることがわかりました。この母体材料は、シリコンの上に直接成長させることが
できています。母体にもユーロピウムという希土類を用いているため、母体から
エルビウムに高い効率でエネルギーが移動していることがわかりました。希土類を
含まない材料を用いる可能性を含め、さらに高効率の発光を得る、低温で成長する、
電流を注入して発光を得る、などをめざして研究を行っています。