液相レーザーアブレーション法による酸化亜鉛ナノ粒子の作製

 半導体や金属を、その原子の10から100倍程度の大きさのナノ粒子にすることにより、 通常の大きさの物質とは異なる優れた機能を発現させることが可能となります。 例えば、色鮮やかなステンドグラスは金属ナノ粒子を含んだガラスです。 省電力の表示装置や磁気記録機器、生体細胞マーカー、太陽電池増感剤などの応用が 期待されています。
 ナノ粒子の作製法としてさまざまな手法が開発されていますが、私たちは液相レーザー アブレーション法に着目して研究を行っています。これは、金属板を溶液中に置き、 強いレーザー光を当てることによって作製するものです。 光により金属板からはぎとられた原子が急冷されることによって液中でナノ粒子となります。 化学反応を用いる通常の方法と比較して、 手順が容易であること、不純物の混入が生じにくいこと、などの利点があります。 しかしこれまでは、作製できるナノ粒子が金属やその酸化物に限られるという 問題点がありました。そこで本研究では、種々の条件をうまく選んでやることにより、 酸化物粉末の焼結体にレーザー光を当ててナノ粒子を作製することに成功しました。 金属板を用いた場合よりも欠陥の少ない良質のナノ粒子を作製できています。 この方法を発展させていくことにより、ナノ粒子に微量の発光イオンや磁性イオンを含ませ、 新しい蛍光体や磁性体を作り出していくことが可能になると考えられます。